コラムcolumn

2023.3.06中国遊学日記 ①僕と留学と中華料理

2007年ごろに県書道にて掲載していた留学体験記の再掲となります。

 

 

「では、がんばって。再見~」

 

 これが、上海空港で父が僕に送った激励の言葉だった。一人取り残された気分。でも、何とかなるだろうと思っていた。イギリスに留学して多少は度胸がついた模様だ。
 北京では、将一さんや干さんのおかげでなんとか宿舎までたどり着き、中国生活を始めることができた。

 これから書き留めるものは、イギリスで食べたモノと中国で食べた物とを比べて、僕が感じたところだ。
 中国といえば飯がうまい。日本においても、中華料理屋はたくさんある。日本人の口にも合い自然と愛されているものだ。イギリスといえば飯がまずい。日本で英国料理屋を探すのは難しいだろう。日本人の僕の口には、伝統のフィッシュ・アンド・チップスは愛せないものだった。

 そんなイギリスにいた者からしてみれば、中国の食文化は大変すばらしいものに思える。中国に来て一週間は何を食べても、「うまい、うまい、中国はいいわ~」と言っていた。事実、今もそう思っている。

 しかし、その中国にも僕が嫌悪感を持つ点がいくつかある。

1 . 店が汚い。

 これは、もうどうしようもないことだろうが、何とかして欲しい。潔癖症の人はまず無理だろう。飯がうまけりゃ文句は言わないだろうと思っているとしたら、少し腹が立つ・・・お皿は洗って乾かしてないものから、ホコリが付いているものまで様々だ。

 イギリスはまったく正反対で、さすが紳士淑女の国だ。飲食店の内部、外部が汚いことは、ありえないことだと思っている。しかし、まずいものも平気で出す。そして平気で食す。平気で食すから、イギリスは食文化が発達しなかったのではないだろうか。

2 . くさい。

 これは店にもよるが、僕のような学生が行くレストランは、入店した瞬間に食欲がなえる様な異臭を発している。場所によっては、便所で食っているのか?という錯覚に陥るところもある。いいレストランは、トイレを見ればわかるといわれているが・・・言うだけ無駄だろう。

 トイレで面白かった話が、僕が天安門に行った際に、日本人旅行団体を引率する中国人ガイドが「では、ここを右に曲がると五星トイレがありますから、休憩にしましょう。」と言っていた。「五星!」確かに綺麗であったが、この感動は中国に住んでいないとわからないだろうなーとも思った。

3 . 店員。

 これは何とかなると思うのだが。どこ行っても大抵がそうだ。融通が利かないし、注文してもすぐ忘れる。なんで?と思うことばかりだ。店員に余裕がないのだろう。

 あと、個人的には注文する際、メニューを見て何にしようか考えているのに「早く決めろ」というような顔で側にいられるのが、優柔不断な僕にとっては尋問に等しい。

 まだまだ細かく言えば出てくるが、大きな問題はこれぐらいだと思う。この点を何とかしてくれたらなと、常に思っているが・・・どうにもならないだろう。
 
 中国に来たばかりのころは、昼食は学生食堂で済まし、夕食は何年か北京に住んでいるモンゴル人と食べていた。僕は三日で学生食堂を飽きてしまった。イギリス生活を思えば贅沢な話なのだが、中国生活で舌が肥えてしまった。学生食堂ははっきり言ってまずい。他のレストランに行ってしまうと、もう学生食堂には行けない。なので、僕が持っている学生専用の食堂カードは、もう使われることはないだろう。

 ここで、僕が好きなメニューの紹介をします。

1 . ピータン豆腐。

 まあこれはそのまま読んだまま、想像したままのものである。日本でも好んで食べていたが、これほどビールに合うものは、ない。両親も知らないことだろうから、あまり大きな声で言えないが、大抵、金曜の昼ごはんは先輩達とビールとピータン豆腐のみだ。

 ・・・雷が落ちないことを祈ります。

2 . あんかけ豆腐。(中国名はちゃんとあるのですが、わかりやすく日本語でかきます。)

 これは、ひき肉、ねぎ、にんにく、しょうがを細かく刻んだものをあんに混ぜ、そのあんを豆腐にかけただけのものだ。注文してから出てくるのも早いし、安いし、うまい。なんと行っても、体に優しい。飲みすぎた、土曜の昼はこれと決まっている・・・
 ここで言っておこう、毎日毎週飲んでいるわけではありませんから。

1 . 西紅柿鳥卵。

 これは結構な美味で、聞く分には中国料理っぽくないと思うかもしれないが、卵とトマトの甘さが絶妙で一回食べたらはまる味だ。また、アクセントにしょうがとにんにくが入っていて、ご飯が進む。

2 . モンゴル鍋。

 羊肉がメインのしゃぶしゃぶだ。羊の肉以外にも豚や牛があるが、僕が好きなのは、羊だ。ジンギスカンのような独特の臭みもなく、豚肉みたいに食べやすい。

 日本のしゃぶしゃぶとは違い、大抵二種類のスープに食材を泳がせる。一つは辛めのスープで、唐辛子が入っていたり山椒が入っていたり、見た目も赤いスープだ。もう一つは白濁したスープで、朝鮮人参などの体にいいものから採ったスープだ。

 このどちらかのスープに、泳がせた食材をねぎの沢山盛られたゴマだれに付けて食べる。これがうまい。ゴマだれを付けすぎると味が濃くなってしまうが、臭みのない羊肉にゴマだれがマッチしている。

 まあこんなもんで中華料理の話は止めておく。うまいものもあるが、首をかしげるメニューも沢山ある。

 それはまた、今後紹介します。

 text= 西本皆文堂
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